高血圧に負けない食事
食事療法のツボと効く食材



高血圧~長いつきあいを覚悟すべき、生活習慣病


高血圧は、血圧のコントロールを通じて、人生のかなりの長期間を費やしてつきあう必要のある、完治の難しい病気です。また、初期段階における自覚症状もほとんどありません(高血圧の概要は、関連サイト「高血圧~症状と予防・降圧剤による治療」をご覧下さい)。


しかしこの状態を長年放置すると、脳梗塞や脳卒中や糖尿病、腎障害などの重篤な病気へとつながっていくことになります。

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ある日なんの前触れもなく突然に、これらの病気が発症してしまうのが恐ろしいところであり、それを招きよせる主な原因のひとつがこの高血圧なのです。

高脂血症や高血糖、あるいは老化などによって、血液の流れが悪くなり血管に加わる圧力が高まって、動脈硬化が進行します。


動脈硬化によって、血液を送り出すときにさらに強い圧力が必要となり、血管が通常より深いダメージを受けることになります。

そのため高血圧は、脳血管疾患・心疾患・腎臓病や糖尿病などの発症リスクを高めます。また糖尿病の場合は、合併症を悪化させることにもつながります。


改善・予防のキモは、薬より日々の食事


高血圧の原因ははっきりと特定されていませんが、遺伝的な要因に加え、塩分のとりすぎや肥満・喫煙・ストレスなどの生活習慣が大きく関わっているとされます。

ざっくりと「遺伝的要因が約6割、後天的要因が約4割」と指摘する声もあります。


これを逆から見れば、食事や運動・休養などの生活習慣全般を改善することにより、そのリスクを減らしていくことができることになります。


高血圧は経過の長い病気であり、自然に治るということもまず期待できません。


高血圧症の治療には、カルシウム拮抗薬などの降圧剤や、体内のナトリウムの排泄を目的とした利尿薬が用いられますが、降圧剤は効きすぎると副作用も起こりやすくなるため、長期間の経過観察や病院通いが必要になってきます。


したがって、症状が表れたら病院で治療を受ければよい…という考え方を止め、生活の質を高めるためにも、日頃の適切な生活習慣を確立して、高血圧(を含めた生活習慣病全般)の予防と改善に努める、という姿勢をぜひ持ちたいものです。

そしてその中心となるのは、まさに日々の食事そのものなのです。


食事



高血圧予防に適した食事として「DASH食」という言葉がありますが、ご存じでしょうか。


「DASH食」は"Dietary Approaches to Stop Hypertension"の頭文字をとったもので、「脂肪分をとりすぎない・食物繊維・カリウム、マグネシウム、カルシウムを多くとる」などの点に特に配慮した食事のことです。


もともと日本の和食は「DASH食」の要件をほぼ満たしていると言われますが、唯一の難点は、和食はそのまま食べてしまうと結構な量の塩分を摂取する結果になることです。したがって、「減塩に配慮した和食の組み立てを基本線として考える」ことは、ひとつの有効な対策と言えそうです。


ただし糖尿病や腎臓病など高血圧以外の合併症をすでに有している人の場合、単純にDASH食を実践すると他の病状を引き起こす可能性もあるため、やり方については事前に主治医に相談するようにしましょう。


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効く食材と栄養素~塩分の過剰摂取が大敵


予防の観点から最大の敵となるのは「塩分のとりすぎ」です。


摂取塩分量(ナトリウム)と高血圧の関連性について疑問を投げかける声もありますが、他の生活習慣病対策も含め、塩分の過剰摂取が血管にダメージを与えそれを加速することも、また事実です。


したがって食事療法においては、「いかに食事で塩分を摂りすぎないようにするか」が最重要ポイントになります。その方向性としては二つあります。


まずは「塩分そのものの摂取量を減らす」こと。


日本高血圧学会は高血圧ガイドラインにおいて、一日の塩分摂取量を6グラム以下に抑えることを推奨しています。


現在の日本人の一日の平均塩分摂取量は11~12グラム程度なので、目標値まで減らしていくことの大変さがおわかりいただけるでしょう。


今日では日々の塩分摂取量をなるべく正しく知りたい方に向けて、早朝に自分の尿を摂取し計測することによって手軽に前日の摂取塩分量を調べられる「塩分摂取量簡易測定器」も市販されているので、必要に応じて利用してみるとよいでしょう。


高血圧で通院中の方は病院の管理栄養士を紹介してもらって、彼らが定期的に行っている「食事相談」を積極的に利用しましょう。日々の食事内容や塩分摂取の状況を一定期間記録したノートを持参すれば、より個別具体的なアドバイスを受けられます。

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ちなみに高血圧の食事療法は、「塩分制限(減塩)」という点において、糖尿病の食事療法と共通しています。


両者の最大の違いは「カロリーの摂取量制限の有無」で、高血圧の食事療法は、カロリー制限よりも適正体重の維持に力点が置かれているので、合併症の方は特に注意が必要になります。

(なお糖尿病の食事制限については、「糖尿病 4分でわかる食事と食事療法のポイント」をご参照ください。)


まだ理由が解明されたわけではありませんが、高血圧の人が食事療法を主とした減量をすると、血圧が下がることは実証的に確かめられています。

食事からの塩分摂取量が減ることも、理由の一端でしょう。


「1キロの減量によって、血圧はおよそ4mmHg下がる」との試算もあるので、肥満の人はこれを目安に減量目標を設定するのもよいでしょう。


食品 食材



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ポイントは、加工食品・調味料類に含まれる塩分の摂取を減らすことです。


ラーメンや天ぷらそばなどは、一杯でおよそ4~6グラムの塩分を含んでいますので、汁・スープはできるだけ手をつけずに残すようにする必要があります。


また、みそ・しょうゆ・ブイヨンなどの塩分を多く含む調味料の使用を避け、食事時のしょうゆやソースなどは「かけるつよりもつける」をモットーにしておくのがよいでしょう。もちろんそのぶん、塩分の摂取量が少なくなるからです。


しょうゆについては、酢やレモン汁などを混ぜて「手製の減塩しょうゆ」を作るようにします。単純にしょうゆを少し水で薄めて使うのもよいでしょう。市販の減塩しょうゆなら、それをさらに薄めて使うことを習慣化するくらいの姿勢を持ちたいものですね。


これらの塩分の高い調味料の代用品として、香辛料や香味野菜の利用、さらには酢を加えるなどして、香りや風味を高める調理を工夫します。


主食に目を向けると、食パンには意外と塩分が含まれています(1枚あたり約0.8g)。菓子パンともなると、1個で軽く1gを超える塩分を含んでいます。よって毎日の主食をパンから米飯に変えるだけでも、摂取塩分量を大きく減らすことができます。


一日で摂取した塩分が一番排出されやすいのは、臓器の活動がもっとも活発な夕食時だそうです。したがって味付けが濃い目のメニューを配するなら、夕食時がベターでしょう。


最後に指摘したいのは、個々の食材・食事ベースで塩分を控えたつもりでも、いつの間にか食事の回数や量を増やしてしまって、結果的に以前より塩分摂取量が多くなっている「やったつもり減塩」です。

薄い味付けへの不満が食べ過ぎにつながり、結果的に血圧値がいつまでたっても下がらない方も、珍しくありません。

自信の無い方は「日々何を食べたか」を記録するノートを用意し、個々の食事のおおよその含有塩分量を書き添えて、一日の合計摂取量を時々チェックしてみましょう。


もうひとつは、塩分(ナトリウム)と結びついて尿からナトリウムを体外に排出する作用(利尿効果)のある「カリウム」や、ナトリウムを包み込んで体外に排出する働きをもつ「食物繊維」を豊富に含んだ食べ物を、積極的に摂ることです。


カリウムは「自然の降圧薬」と呼ばれているほどで、腎臓に病気のある人を除き、普通に食事からとるぶんには摂り過ぎの心配もありません。高血圧予防の観点からは、一日に3,500㎎程度が望ましい摂取量とされています。


カリウムは、ほうれんそう・小松菜・さつまいも・アーモンドやクルミなどのナッツ類に多く含まれますが、いずれにせよ食塩無添加の製品を選ぶようにします。

他にもカリウムを手軽にとりたい場合は、バナナ・りんご等の果物や緑茶の茶葉粉末を食べたり、食塩無添加のトマトジュースを摂るのもよいでしょう。


ただし注意点として、腎機能が低下している方がカリウムを過剰に摂取した場合には、高カリウム血症などを招く恐れがありますし、その他にもカリウムの摂りすぎがめまい・不整脈・低血圧などの症状や副作用につながることもあります。

すでに投薬によって高血圧の治療を受けている方は、日常生活におけるカリウムの摂取量に制限がかかる場合もありますので、先に医師に相談しておくほうがよいでしょう。


(特に水溶性の)食物繊維は、さつまいも・ごぼうなどの野菜類の他、わかめやひじき・昆布など海草類にも含まれています。

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予防・改善に効く栄養素・食品


カリウムや食物繊維のほかにも、高血圧によいとされる栄養素がいくつかありますので、ご紹介しておきます。


まぐろやホタテ、たこやいかなどの魚介類に多く含まれる「タウリン」は、交感神経の働きを抑えるとともに腎臓の働きを活発にする作用があるため、高血圧の予防や改善によいとされます。

一日に3,000~6,000㎎はとりたいところですが、食事からだけでは摂取量がその十分の一程度しか期待できないため、サプリメントの活用も考えたいところです。


また「α-リノレン酸」などの不飽和脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを減らして血栓を解消する作用があるため、動脈を丈夫にし血圧の改善に効果があるとされます。α-リノレン酸は、しそ油・えごま油やくるみ、わかめ、シジミなどに多く含まれます。


緑茶



血中コレステロールや脂質を取り除く作用のある「カテキン」は、緑茶成分として知られています。緑茶から一日の目標摂取量となる1000㎎をとるためには、新しく入れた一杯目のお茶に換算すると、一日10杯程度を飲むことが目安になります。


お酢に含まれている「酢酸」には「血圧を低下させる作用」があることが、人を対象にした研究でも確かめられています。

酢の主成分の「酢酸」には、人の血圧を上昇させる「レニン-アンギオテンシン」系の作用を抑えるはたらきがあることが、科学的に立証されています。

このため酢酸を配合した飲料や食品には、高血圧の人に適した食品として「特定保健用食品(トクホ)」の表示許可を受けているものもあります。


栄養相談Q&A~酢は動脈硬化、高血圧を予防しますか?(日本栄養士会)


酢には酢酸以外にも疲労予防・回復効果もあるとされる「クエン酸」も含まれていて有用なため、高血圧の方は食用酢を毎日大さじ一杯(15ml)程度、胃に負担がかからぬように水などで薄めて飲む習慣を身につけるとよいでしょう。

前述のトマトジュース一杯に酢を大さじ一杯程度混ぜると、口当たり良く飲めてカリウムと酢酸が同時に摂れるので、日々の血圧対策におすすめします。


他にも、「カルシウム」や「マグネシウム」の適量の摂取が血圧を正常に保つために有効とされており、高血圧予防の観点からも、日頃の食生活で十分にとるようにしたいものです。

カルシウムは無糖ヨーグルト・スキムミルク・豆腐・いわし・ごま・小松菜等、そしてマグネシウムは納豆・ほうれん草・わかめ・ごま・ひじき等の食事に多く含まれています。


中でも「ごま」は注目すべき食品で、ごまに含まれる成分「ゴマペプチド」には、血管を収縮させる物質の生成を阻害して、血圧上昇を抑える作用があります。ゴマペプチドを配合した特定保健用食品(トクホ)のお茶やサプリも、市販されています。


血圧を下げる食材としては、「にんにく」も見逃せません。

高血圧の被験者群へにんにくを投与したところ、拡張期・収縮期血圧のどちらにも、数ミリHg程度の血圧降下が認められたという海外の研究報告があります。

にんにくの成分であるアリインアリシン等がもたらす、血管拡張効果によるとみられています。一日1/2~1片程度のにんにくを、食事から摂るようにしたいものです。


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食事療法を長続きさせるコツ~適度の運動・休養も



高血圧予防・改善のために避けるようにしたいのは、中性脂肪を増やし動脈硬化のリスクを高める動物性脂肪の摂りすぎ・喫煙・多量のアルコール摂取などです。


食事療法は、塩分量や味付けの嗜好などに注意しながら、同時に日々の献立メニューにも彩りを添えなければならず、いつも考えてつくるのは大変…というご家庭も多いでしょう。

高血圧をターゲットにした数多くの献立レシピ集が販売されていますので、それらを活用したり、あるいは高血圧食の宅配サービスなどを利用するのも一法です。


いきなり薄い味つけに変えて食事の物足りなさを感じる場合は、たとえば食卓の5品のうちの1~2品だけを従来どおりの味付けのままにしておくといった、段階的なやり方にしてもよいでしょう。慣れた頃あいを見はからって最終的に全品が低塩分で薄味の献立になるよう、時間をかけて移行すればよいわけです。


ただしこれは、言わば「脳と舌を一時的にだます」やり方です。塩分を減らしていく「さじ加減」は、管理栄養士の指導にもとづく食事を病室で強いられる状況等では有効なものの、自宅で細かく塩分量を計りながら長く続けていくのがなかなか難しいのです。


惣菜の塩分にメリハリをつけるやり方は、あくまで「短期決戦用」です。いつまでも脳と舌を「だます」のではなく、あくまで脳と舌に「薄味を好きにならせる」のが最終目標であることを、忘れないようにしましょう。



いずれにせよ、高血圧は長い年月にわたる経過観察が必要な病気ですので、かかりつけの医師とも相談したうえで、各家庭の事情にあわせて料理をサーブする側が疲れないやり方を組み立てるのが、食事療法を長続きさせるコツです。


食事療法の効果を高めるためにも、肥満を招かないための適度な運動、ストレスをためないための適度の休養も確保した、ゆとりある生活習慣もあわせて心がけたいですね。


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